Cityscapes

11 Sep. 2021

Matt
Sep 11, 2021

入国後10日間は自己隔離を課せられているため、この間はホテルの自室に引き籠る生活となる。外の世界はといえば、部屋の窓から見える長方形に切り取られた決まった景色のみ。暮らしぶりは何不自由なく快適であるものの、これでは心なしか獄中生活のような気がしなくもない。

コロナの検査の関係で大学へ行くなど外出の機会があれば、敢えて遠回りな道筋を選ぶのは必至だ。聞くところによれば、英国当局に自分の連絡先を英国の電話番号(国コード ‘+44’)で登録しておくと、自主隔離の履行状況を訪問確認されるようなこともなく緩めの監督で終わっていくということであった。英国のSIMを日本で入手していたおかげでやや気を抜きながら、数少ない機会を生かして若干の市内散策をしている。

街並みはきれいだ。見慣れた東京よりも新鮮に映るから、というのもあろう。しかし、個々の建造物や敷地の空間の取り方にゆとりがあることは、狭い空間に大も小も詰め込んだかのような窮屈な印象を与える東京都心と異なる点だ。東京を思い起こせば、たとえば小ぶりの雑居ビルですら7階建てにして上方に嵩を増し、その雑居ビル群が空を味気なく覆うのだ。対してロンドンは低層建築と高層建築がきれいにコントラストを成している。3、4階建て程度の低層建築が一介の日本人観光客の眼には「いかにもイギリス」と思わせる外観を呈する一方で、100mを超えるであろう高層建築物は曲線を採り入れるなどモダンなデザインが施されており、1キロ以上離れた地点からでも空を背景にくっきりとその姿が見て取れる。

小路に入っても飽きることはない。大通りから逸れて路地に入ると、突如として別の世界観が現れる。多くの小路がアスファルトによる舗装ではなく石畳であることも印象の変化を手伝っているかもしれない。道が狭いために低層建築であってもそれらに挟まれれば空は狭くなり多少の閉塞感を感じる。その一方でレンガや石畳が織りなす景観によって、この細い通路が次にどこへ続いているのかという楽しみを歩く者に与えてくれる。また路地裏であっても不意に公園のような空間が現れるのも面白い。そういう場所で休めば、ここが大都心であることを忘れてしまいそうだ。

大通りを歩いていると、公道の真ん中を写真のようなクレイジーな自転車(?)が走っていた。運転席ではDJがクラブっぽいサウンドを大音量で回しており、信号が青になった瞬間にサイドの6人が一斉にペダルを漕ぎだした。この運転手は果たしてハンドルを回していたのだろうか。ここに彼らのテンションは最高潮を迎えていた。

The entire view of Tower Bridge

少ない外出の機会で見た中で最も壮麗な景観といえばタワー・ブリッジ(Tower Bridge)に触れずにはいられない。「どうして橋の上にディズニーランドが浮かんでいるんだ」という思いは今でも拭えないが、どうやら後に調べたところではこの橋は可動橋の一種の跳開橋らしい。なるほどロンドン中心部を流れるテムズ川の東の門といったところか。Google Mapで確認すると、この立派な橋より東へは、20Km以上離れた地点に1つだけ橋(Queen Elizabeth II Bridge)があるが、それより先に橋はなく、テムズ川は海へと辿り着く。タワー・ブリッジ以東ではテムズ川を挟んだ南北のアクセスがやや不便そうだ。英会話の先生に繰り返しご自身が住むイギリス南東部のHastingsに立ち寄るよう勧められているので、いずれはこの南北問題を確認できたらいいと思う■

Toward the city center from Tower Bridge
On Tower Bridge

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Matt

A student of LSE-MPP / Articles here are targeted mainly for my Japanese peers and friends.